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渡英から1ヶ月と2週間が経とうとしています。これまでの一番大きな変化というと、引越しでしょうか。最初親戚にお世話になっていたSlough(ヒースロー空港の西)から、ロンドン北西部のQueen’s Parkという公園の真ん前に移りました。市内は10分ごとくらいにバスがやたら走りまくっているので、電車やらバスの時間をほぼ気にせず移動できるのはかなり快適です。3階建てフラットで7人くらいとのシェアですが、部屋にキッチンがある(かつ共用リビングがない)ので、まだフラットメイトは3人しか知りません。部屋の電気、洗濯機、シャワーを使うたびにいちいちコインでメーターをチャージしないといけないという、この21世紀に信じられないレトロなお家です。(これはロンドンでも普通じゃないらしく、誰に言っても驚きます。Sloughに住んでたことも同様に、誰に言っても驚きます。)あとイギリスには網戸という概念がないらしく、今も頭の上でてんとう虫が一匹独壇場を繰り広げています。

大学としては、AcrossRCAという学内横断プログラムがありました。運良く抽選にあたって、Design Ethnographyをテーマにした5日間朝から夕方までのかなり集中型ワークショップに参加しました。博士の学生は(今のところ)ここまで密なワークはないので、IDE修士の人たちのスケジュールの密さに改めて驚愕します。エスノグラフィーは主に文化人類学の分野において、フィールドワークを通じてある集団の特徴を調査することをいいます。実際、練習ということで一日フィールドワークの日が設けられ、ペアとの話し合いによりIKEAに行ってお客さんの隠し撮り&突撃インタビューを繰り返すという、なかなか精神力を使う訓練をしました。オランダ出身でテキスタイル専攻のペアがなかなかアーティーな切れ者で、「そういうプレゼンテーションもありかあ〜」と学ばせてもらいました。

こうした充実した出来事の反面、地味に超不便なことだらけな国というのは相変わらず、(1ヶ月半経ってもまだ銀行口座が開設されないとか。秋葉原みたいに電子部品をぱっと買えるところが皆無で、通販になる結果届くのに一週間以上待つとか。学食で適当に取ったましそうなサンドイッチが800円 もするとか。)物事に期待しない生き方が爆速で身についていくのを感じます。「予定Aを立てたけど上手くいかない可能性もx%あるから、そのときにはBをしよう」の、xが8から70くらいに上がって、Bを考える力がつきます。

何にせよ、とりあえず無事に(?)一ヶ月を乗り切ったという、これはこれでめでたいことです。そして明日くらいには電子工具が届くはず(x%)なので、やっと研究が発車できそう(A)です。さて、明日は何をすることになるんでしょうか(B)。

 

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AcrossRCAでのプレゼン資料