葉月、第二稿

五月に博士論文の初稿が完成した。RCAの博士課程では、第三学年の学年末審査で論文の原稿がほぼ出来ている状態と認められれば、それ以降の学費は殆どかからない。(逆に言えば、ヘマをすると資金的に大分困った状態になる。)この制度のおかげで、なんとしてでも学年末審査に「それなりにできた」初稿を間に合わせなければいけなかった。同月末に審査が無事に終わり、あとは最終稿の提出と学位審査が残っている。とりあえず急いで書き上げた初稿は、書いた当初はそれなりに満足したものだったが、今読むとあちこちに穴が空いている。言いたいことは分かるし、ところどころ悪くない部分もあるが、それでも完成と呼ぶには程遠い。一度組み上げたものに手を入れるのは、全くの更地に何かを建て始めるのとは違った難しさがある。自分でこうしたいという欲もあれば、人からの期待もある。幸い、今書いている研究は恐らくずっと先の長いものになる。少なくとも、自分が卒業した後大学図書館の倉庫にひっそり置かれるだけという状態にはならなさそうだ。最終稿の締め切りは十一月。秋が過ぎないうちに十分に整えたい。